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聴覚障がい者の目線に立った指導とは何か

聴覚障害とは

聴覚障がい者は情報が不足しており(情報障害)、コミュニケーション障害という障害も含まれる。たとえば漢字を知っていてもふりがなを間違えることが多く、聞き間違い、思い込みがある。それは聴覚障がい者にとっては当たり前のことであり、ふりがなを間違えたことを笑われて恥ずかしい思いをする人もいる。

普通学校へ通う子の特徴

普通の学校に通う小学生、中学生はなかなか健常者の情報が得られない中、少しの情報でも分かると嬉しく感じるため、相手に対して迷惑をかけてしまうという遠慮で「わかりました」と言ってしまう。全ての情報を聞くことが出来ないため、本人にとって100パーセントの情報が得ていない。わからないことに対して積極的に質問をすることをあきらめている子も少なくない。

聾学校へ通う子の特徴

聾学校に通っている子どもは、普通学校へ通う子と比べて遠慮などはないが、学校では勉強の「基本」だけ教えてもらい、理解することに時間がかかり、「応用」に対して教えてもらう時間がなくなり、応用問題が解けない子どもがいる。
また、聾学校に通っている子どもに対して指導するには「ろうの文化」という文化を理解した上で対応しなければならない。「ろうの文化」というのは社会の枠から離れた特有の文化がある。

以上、両方の特徴を考慮しながら指導するのが聴覚障がい者の目線に立った指導である。

聴覚障がい者の塾をつくる気持ち

講師が聴覚障害を持つ人だったら遠慮することなく質問できるだろう、というのが私の考えである。

生まれつき聴覚障がい者の私は育った環境にいる者がすべて健常者だったため、常に考えは健常者と同じ考えで、他の障がい者と自分は同じだと思ったらいけない、「私はきこえないけど、健常者と変わらないよ」という安心感を持とうとしていました。反面、私は聴覚障がい者なのに、微妙な気持ちでした。

親が健常者ということもあり、私は親に対して心配かけないように心のどこかで「私は健常者と変わらない」と振舞っていたかもしれません。実際は健常者の中では孤立しているような状態で学生時代を過ごしました。

先生や周りの言うこと全て「わかりました」という知ったかぶりが多かった。それが当たり前でした。けれど、心のどこかで後悔もあり、あきらめもあり、精神的にしんどい面もありました。

気を使うあまり、ストレスが溜まり、体を壊して、入院生活を送っていた時期がありました。そういう中で「私はいつまでもわからないままでごまかし続けていいんだろうか」という思いが強かった分、子どもたちには同じ思いをさせたくないと思いました。差し伸べてくれる手があれば・・・という学生時代の私の思いが聴覚障がい者の塾をつくりたい気持ちにつながりました。

耳がきこえないことは人に迷惑だということが子ども心に感じ、遠慮していました。耳がきこえないことを受け入れ、わからないことは遠慮なく聞いていいんだよ、という場所をつくるべきだと私は思います。そして子どもたちが「できた!」という喜びを得られるように、とことん向き合って育てたい。

私の年代では「大学まで行くこと」が障がい者の夢でした。しかし、大学卒業まではいいのですが、社会はまだまだ障がい者を受け入れていません。その受け入れてくれるような社会にするためには聴覚障がい児を大学に行かせるために教育のレベルを上げることです。

現に私は短期大学で中学教師の免許を取ろうとしていましたが、耳がきこえないことを理由に断られました。時代は変わり、現在は取れるようになりましたが、そういう聴覚障がい者としての情報が足りないこともあり、または私の親が聴覚障がい者との付き合いもなく、その情報も調べようともしませんでした。

そういう孤立した子どももいるはずです。勉強を頑張るなら、その目標に合わせて一緒に考えてお手伝いがしたいという気持ちも強いです。聾学校に通っている子どもたちにももっと視界を広げば、「応用」に理解ができ、目を向ける視界が広がるだろう、と私は思います。

聴覚障がい者の塾をつくるともっと情報を得ることができるはずです。または講師が聴覚障がい者であると、子どもはきこえない大人を見ることで安心する面、夢を持つこともできる。講師が健常者の場合、聴覚障がい者に足りない情報をフォローしてもらいながら、指導してもらうこともできる。「頑張ればこの人みたいになれる」という希望をもたらすことも大事だと思います。

「あきらめ」から抜け出し、「やる気」と「希望」を持って、子どもたちの学習能力のレベルを上げることが聴覚障がい者の塾を作りたい気持ちのひとつです。

以上が私の考えですが、この考えがすべてみんな(聴覚障がい者)の考えが同じではありません。育った環境によって考え方、受け止め方が違うのであくまでもひとつの参考だと思って受け止めてください。

特定非営利活動法人MAMIE 安藤美紀